はじめに
うつのときは、ほんの一言でも心に刺さることがあります。
悪気がなくても、相手の言葉に「自分を否定されたように」感じてしまう。
ここでは、私がうつの時期に実際に言われてつらかった言葉を3つ紹介します。
今、同じように苦しんでいる方が「自分だけじゃない」と感じてもらえたら嬉しいです。
① 「うつ……?」と言われたとき
自分でも、まだ「自分がうつ病だ」と受け入れきれていない時期でした。
でも嘘は言っていないし、ただ診断された事実をそのまま伝えただけ。
それなのに、不思議そうな顔をされたのがとてもつらかったです。
「本当に?」という反応は、
まるで“信じてもらえない”ように感じてしまいました。
うつ病は目に見えない分、そう思われがちですが、
信じてもらえないことがいちばん心に刺さりました。
② 「みんなそうだよ」と言われたとき
「そういう時期あるよ」「みんなそうだよ」「私もそうだった」
そんな言葉をよくかけられました。
でもそのたびに、心の中ではこう思っていました。
──「みんなそうだったら、働けない私は何?怠け者なの?」
確かに、誰にでも疲れる時期や落ち込む瞬間はあります。
でも“うつ”は、それとは違います。
休んでも回復せず、気力も集中力もなくなる。
それを「みんな同じ」と言われるのは、とても苦しかったです。
③ 「寝れてるならよかった」と言われたとき
私の場合は、不眠ではなく過眠でした。
それを話したとき、「寝れてるならよかったね」と言われたことがあります。
でも、眠りすぎるのもつらいんです。
いくら寝ても疲れが取れず、起きるのも大変で、
「また寝てしまった」と自分を責めていました。
なぜ「不眠の方が大変」と比較されるのだろう。
どちらも苦しいのに──。
そう感じたのを今でも覚えています。
その後、私はうつ病ではなく双極性障害だと診断されました。
双極性障害のうつ期は、過眠になる人が多いと聞き、
ようやく自分の状態に納得できました。
「大丈夫?」がいちばん答えづらかった
「大丈夫?」と聞かれることがよくありました。
でも、あのときの私は、大丈夫ではなかった。
だからといって、「大丈夫じゃない」とも言えませんでした。
「大丈夫?」と聞かれた瞬間、
自分の状態をうまく言葉にできず、ただ黙ってしまう。
あの沈黙に、どれほどの気まずさと悲しさがあったか、今でも覚えています。
大丈夫ではないから、大丈夫とも言えない。
でも、「大丈夫じゃない」と言うほどの力もない──。
あの頃の私は、そんな狭間にいました。
おわりに
どの言葉も、相手に悪気はなかったと思います。
でも、うつのときの心はとても繊細で、
たった一言が「自分を否定された」と感じてしまうことがあります。
「大丈夫?」と聞かれるよりも、
本当は「よく頑張ったね」と言われたかった。
ただそれだけで、少し救われた気持ちになれたと思います。
うつのときの自分を思い返すと、
頑張っていなかった日なんて、一日もありませんでした。
たとえ何もできなかった日でも、
“生きていた”ということが、すでに十分頑張っていた証だと思います。
誰かが苦しそうにしていたら、
「どうしたの?」ではなく、「よく頑張ってるね」
そんな優しい言葉をかけられる社会であってほしいなと思います。


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